2022/06/17 金曜日の横浜

1週間の仕事を終え、右肩に解放感、左肩には疲労感をそれぞれバランスよく乗っけてオフィスを出た。 皮膚炎になってから、退勤後の楽しみだった銭湯巡りはしばらくお預け。 代わりに、馴染みのない街を歩くのが楽しみになった。 日頃から湯に浸かり芯から温…

2022/06/16 中華そば

今日は休み。 雨が降りそうで降らない。 昼は近所のラーメン屋に行った。 醤油ラーメンではなく「中華そば」と呼んでいる店。 1,000円目前とちょい高め。 でも、絶対に外さない、評判の店だ。 「中華そば」が、スープ、麺、ネギ、メンマ、チャーシューそれぞ…

2022/06/15 ミスト状の雨とコーヒー、チェーン店のパスタ

ミスト状の雨が木の葉を湿らせている。 曇り空はまだ薄く高い。暗さや圧は少なく、昼過ぎにはやむだろうか。 朝。 駅ナカ喫茶に入店し、アイスコーヒーを頼んだ。 もう春が退潮するころにはすっかりアイスコーヒーが続いている。氷のカランカランや溶けかけ…

2022/06/14 敵意とから揚げ

朝の空は一面、鼠色。 太陽が隠れているのだろう、東の空の一点だけ明るかった。 「いっちばん強いステロイド薬」の効果はてきめんだった。痒みはほとんどない。全身に広がっていた赤い斑点も、少しずつしかしながら着実に後退している。 今日はオフィス勤務…

2022/06/13 チャドクガ

今年の夏を占うように、今日のわが街練馬はじりじりと暑い。時折ひゅっと吹く風が涼しげで、かろうじて6月を感じさせる。 在宅勤務の昼休憩のあいだに、近所の皮膚科に行く。 昨日からあった虫さされと思しき斑点が全身に移り、痒くて痒くてたまらないのだ。…

2022/06/12 アフター・ノーCPAP

起き抜けから半目開けの朝の目覚め。 固まりはじめた泥のような表情で挨拶をする。 まったく眠った気がしない。 今から就寝するにはちょうどの疲れ度合いだ。 庭に目をやると、梅の木がすっきりさっぱりしている。 ジャングルのごとき茂みにも風の通り道が生…

2022/06/11 ノーCPAP・ノーライフ

いまは不在の祖父母宅。 母、叔父、そして俺との梅摘み、剪定、草むしりを終えて、皆が皆、泥のように疲れ、下半身が平成初期のロボットのようにギイコギイコとしか歩めなくなってしまった。 今晩は泊まることになった。 CPAPがない。 このことに気づいたの…

2022/06/11 草の臭い

祖父母が住んでいた家に行く。 庭木の剪定や、伸びきった植物を手入れした。 梅の木、 ヤツデ、 カエデ、 ミョウガ、 雑草系… 草を切りむしるたび、匂いがむんと充満していく。 こんなに緑は生々しい臭いがするのか。 植物は魅力がある。

2022/06/09 リクルートスーツ

6月。 梅雨に合わせて、春の華々しい「新生活」の宣伝文句にカビっぽい生活臭が付着しはじめる。 夕方ラッシュの電車内は、軽く茹でたようなよろけた大人たちが吊り革に揺られて帰路についていた。 そのうちのひとり。 2人ほど隔てた先に、小柄なリクルート…

自棄にならないほうが旅はいい

自棄になった人が大人しく帰路につく時、どんな顔をしているんだろう。 某年、春前のこと。 会社終わりに、どこでもいいのでどこか行こう、となった。旅行というより徘徊だ。どうにでもなれ、と思っていた。しかしだいたい、どうにでもなりたいときほど、た…

ねだり損ねた話(3,4歳ver.)

10年前を思い出そうとするのは難しいが、20年前だったら、かろうじて引き出しからチラホラとした記憶が収納されている。今日、何年ぶりかに取り出した、いや…ついぞ忘れてしまっていた、埃まみれの幼い記憶の話。 生まれたのは千葉県船橋市。 すぐさま親の社…

三谷幸喜と共感性羞恥の話

某スーパー銭湯のサウナには、テレビがある。縦に積まれた段差のどこに座っても視線の先にはテレビがあって、スピーカー越しに今やっている番組が見れる。 某日、夜。 ちょうどサウナに入ったとき、そこでは乃木坂系のアイドルグループが歌って踊って、を映…

あの頃の引き出し(2008〜2013年あたり編)

高校の頃の人に会ったり、その時に所属していたグループで久々に集まったりすると、一瞬であの頃に戻る。 たいてい、こういった触れ込みの話はいい意味で使われる。大人になっても若いまんま、青春時代の輝きは今もなお、いつだってオレたち花のうんたらかん…

2022/02/01 無題

夜になると気分が沈むのは、ごく当たり前のことだ。 夜に月が揺れるとき、人の心は膨張する。 喜びも、悲しみも、怒りも、無力感も。 怠惰で肥え切った身体のように、際限なしに心が膨れ上がっていくものだという。 誰が言ったか知らないが、言われてみれば…

2021年11月23日 文学フリマ東京を終えて

昨年春より幾度も目標としていた文学フリマ東京が、無事、終了致しました。 かくいう私も、この星の数ほどのブースが出店していたなか、『緑の雨文芸』としてそのごくごく一角でひっそりと出しておりました。 2018年秋に仲間と共同でブースを出していたこと…

クロール

深夜。 日々の生活に彩りを加えるメランコリー気質が、またもドドメ色のスプレーを噴射した。 こういう時はどこかに吐いた方がいい。 ネット上は避けるべきだ。 なのでこの頃は、気が付いたその時にメモ帳に書き出すことにしている。 つっても、書くような落…

短い近況とご挨拶

お久しぶりです。 このブログもなかなか続かないまま、途切れ途切れで数年続いています。 いつもありがとうございます。 3ヶ月ほど休職期間を頂いていました。 今は無事復職しております。 まずは仕事ができる喜び。 次に、仕事の勝手を忘れかけていたことへ…

2021/04/05 雨の街・郷愁の夜電波

久しぶりに朝早くに目が覚めて、仕事の気合いがじゅうぶん入っていたところで、雨が降りはじめてしまった。傘を持って行かないと。雨は苦手な体質だが、それほど嫌いってわけでもなかった。なければないほど嬉しいかというと、そんなに嬉しいわけでもなかっ…

2021/04/02 夜の自転車散歩の記録

昨日今日は体調が悪く、家の中でボーっとテレビ西武戦中継を眺めているだけで終わろうとしている。気力がなかなか湧きにくく、よりボーっとしていたが、たった今西武がホークスに勝って試合終了し、気分よくブログを書くに至った。とはいえ、昨日も今日もさ…

2021/04/02 季節がはじまる

目黒川の桜はいよいよ散っていき、風が吹くと花びらが乱舞する。窓越しに、日差しが淡い桃色に反射して、映画のワンシーンを見ているようだ。 先輩が、「この時期になるといつも、自転車の運転が難しい季節になったね、って話を同僚とするの」と教えてくれた…

2021/04/01 飛行機のおなかを見た

東京の南部地域では、昼下がりから飛行機を間近に見れる。羽田空港への飛行ルートが変わったのだ。時間帯を限定しつつ、海上から突入するルートに加えて、東京都心上空を横断するルートが採用された。この背景には羽田空港の国際線発着数の増加のねらいと期…

2021/03/31 春は変なことを考えやすい

目黒川の桜は散り始め、川面は大量の花弁が浮かんでいた。花筏。 昼休み、いつ使うのか分からない、恐らく緊急時専用の船着場のベンチで腰掛けていると、唸りを上げたモーター音が近付いてくる。バイクかと思うとそれは花見客を乗せたボート。青汁よりも悪そ…

東京タワー

自転車の速度を緩め、高輪ゲートウェイ駅近くのセブンに立ち寄った。ホイップクリームつきのどら焼きを買って食べる。甘くて美味しい。それより口中が痙攣したような痛みさえ感じるほど、身体が甘さを欲していた。糖分がよほど足りていなかった。さっき、私…

2020/09/06

秋になった。 昼間の気温はやや下がり、あとは湿気が落ち着けば……と思う。 街路樹に風が吹くと、結構な数の枯れ葉が飛んでいくのがわかる。 湿った落ち葉の甘ったるい匂いを感じる。もう秋だ。 早かった。 昨年の秋から、いろいろなことがあった。 11月の祖…

New Normal の、ブルース

人の心は寄り添い合い生きていく。 しかし理想にすぎないと、 私たちは密かに嘯いていた。 私たちは、各々の価値観と善悪とすれ違う優しさまたは狂気の全てを、一瞬の表情に混ぜ込ませては、誰かに気付かれるのを恐れながら待っている。美術作品を2メートル…

ひとり・ひとり・ひとり?

自分が今まで当たり前に思っていた生活が、否応なしに変わらざるを得なくなった。自由に外に出られない。人に会うこともできない。ないないだらけの生活だ。茫然と立ち尽くすことになる、と身構えた。ところが蓋を開けてみると、意外な日々が待っていた。そ…

まったく大変なことになりましたね

まったく大変なことになりましたよ。ひと月前には誰が想像出来たでしょうか。COVID-19がここまで私たちを沈黙させるなんて。マスク越しでさえ咳ひとつ許されないこの雰囲気!会いたい人には、後悔しないため今すぐ会うのをやめよう、と、そんな価値観が共有…

それこそが、トランポリンガール、でしょう?

「女性が男性を持ち上げる」って、近代からずっと取り入れられてきたけれども、それはもう、生き物として矛盾しているのだと痛感する。凄まじい表現者がいたら、出来るだけいっぱいに表現してもらいたいし、その環境を全力で整えたいって思うでしょう。男性…

燐光

昨日がこれで、今日がこれで、明日はこれ、と見立てる一方で、私は何ひとつ手を出せない。それは自然科学のようで社会学のようで哲学のようで、またそのいずれでもない。自然が緑であること、ひとつの現象が発生したこと、命があり精神があることは、たしか…

冬影踏みしきる

どうも雨の日は身体にかかる重力が強まるもので、慣れっこになることなく27年もの月日が経った。そんな日の朝の山手線は1人あたりの容量が1.2倍に膨れていて、ドアの隅で圧縮袋の掛け布団みたいにくちゃくちゃになった私は、辛うじて上空を見上げた。柔く握…