2022/06/13 チャドクガ

今年の夏を占うように、今日のわが街練馬はじりじりと暑い。時折ひゅっと吹く風が涼しげで、かろうじて6月を感じさせる。


在宅勤務の昼休憩のあいだに、近所の皮膚科に行く。
昨日からあった虫さされと思しき斑点が全身に移り、痒くて痒くてたまらないのだ。


ところで、チャドクガをご存知だろうか。
チャドクガは蛾の一種で、主にツバキやサザンカなどの庭木に生息する。幼虫も成虫も微毒性のある針を全身に纏い、人の肌に触れると、斑点が局地的に現れ、毒により痒みが起こる。繁殖期は5月から6月と、秋期。とくにさかんに活動するとともに、毒針もせっせと蓄えられる時期だ。チャドクガの毒針は軽く、風が吹いただけでフワッと空中に飛散するため、触れていなくても人の肌に接触してしまったり、服の裏に入ってしまうという。



なぜこの話をしたかというと、
つまり、土曜日の草むしりで、まんまとやられてしまったのだ。
不意に左脇腹に違和感があり、蚊と勘違いした俺は部屋に戻って虫除け薬をもう一度身体に塗った。
そのときに、毒針ごと手が身体中に運んでしまったのだろう。わかりやすく裏目である。


皮膚科で診てもらうと、
「うわー、これはとてつもなく痒いでしょう」
と驚く医師。安心に油断してぶり返す痒み。
「いっちばん強いステロイド薬出しときますね」

頼もしい処方箋を持ち帰ることができた。


前回も、庭の草むしりでチャドクガにやられたことがあった。
数年前。
まだ、就活中なのかニートなのか曖昧にして口ごもる頃のこと。
たまらず痒かったが、ここまで広がることも、強く痒むこともなかった。

この差はなんだ。
言ってしまえば、「ストレスがないことがストレス」な時期。暇を持て余した体内の抵抗力が、「ひさびさに働くぞう」と腕をぶん回したのだろうか。

かたや今。
ちょうど、数ヶ月にも及んだ荒れた繁忙期が落ち着きはじめた頃だ。アドレナリンで乗り切っていた当時よりよっぽど今のほうが疲れている。
ストレスから解放された反動が、ここに現れたのだろうか。
またしても裏目



昼休憩に脚が出てしまった。
仕事に戻る。