2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『祈り』

思いどおりにいかず 言いたいことも仕舞える弱さが わたしを明日に生かすのだ ついにとざされたまま きっとわかりあえない きみとわたしは同じいきもの はるか遠方にめざめた性に 春一番に遊ばれた艶っぽい髪を 梳いた人の手がひどくつめたいことも きみは知…

きみの一秒後

きみには夢がある。ありとあらゆる理想の自分が頭のなかで笑顔でいて、なんども優しく呼びかけているんだろう。こっちへおいで、こっちがすきでしょう、素直になりなよ、って。さらに、若い自分には、未来があると信じてやまない。何年後も、何十年後も、し…

『愛の行方』

ひとりよがりの恋に遭い 引き千切られたカスミソウ きみは偶数わたしは奇数 よびあう声の微調整 境界線の内側で ふたりにまつわる互換性を しっていたんだ、 しらなかったよ さよならまでの道筋は、 きみが、きみの、きみと、きみを とうの昔にきみを超え わ…

散文セット

意欲って、どうやって手に入れるものなのだろう。だいたいこの時間、1日の終幕付近の午後7時から9時にかけて、私は毎日、持て余す。なにをしよう。それと、あともうひとつ。私はなにがしたいだろう。心で考えるにはあまりに足りないため、頭のなかにスッと信…

『冬があける』

春のよそよそしさに言いくるめられ孤独な欲のかたまりに触れたこと身近で手頃な一輪の、そのひとひらにだけ教えてあげる 朝にいれたコーヒーがうすくひどくつめたい味がしたはじらいと戸惑いの夏の合間、飲ませてやればよかった またあいたい、またあいたい…

アップデートに立ち向かえ

さて困った。理由がわからないけれど、とにもかくにも頭のなかがキメたように暴れていた。こんなにもアッパーな絶望がかけめぐるのは、なぜ。困りはてた私は、またもなぜか、だれかと話がしたくてたまらなくなった。そんな、話すっていうけれども、どんな話…

薄く笑うひとの火はか細くて

居酒屋、となりの席から、「セックスするたび傷つく気になる、苦しくなる」と漏らしていた女子に、「でもセックスできるんだからいいじゃん」と悪びれることもなく言い放った男、とのやり取りが聞こえてきてしまった。その男、何もわかっちゃいないくせに、…

朧月夜

ついに抑えも利かなくなり、私をしきりに襲うわずらいごとがある。その中身は、できる限り思考を避けたかったこと、見て見ぬふりをしていたかったこと、そして、いったい何者か、私自身もつかむことができていないことだ。これまでも、このことで、何年もの…