2021/04/01 飛行機のおなかを見た

東京の南部地域では、昼下がりから飛行機を間近に見れる。羽田空港への飛行ルートが変わったのだ。時間帯を限定しつつ、海上から突入するルートに加えて、東京都心上空を横断するルートが採用された。この背景には羽田空港の国際線発着数の増加のねらいと期待、さらにその背景には東京オリンピックとインバウンド需要のねらいと期待があったはずだ。


ルート変更したての頃は、大変驚いた。職場が都内の南部なので、オフィスのエントランスを出ると、よくキーンと音を立てながら低空で飛んでいるのが見える。想像を上回る低空飛行のさまは新鮮だった。よく見えるし、少し怖かった。伊丹空港福岡空港近くに住んでいる人からすると、これが1日中ひっきりなしにあるのだから、大変だ。飛行音も大きいし。それから、さすがは首都に至近な羽田空港である、飛行機が次から次へと着陸を目指すのだ。少し遠くに見つけたと思ったら、もっと手前にもう1機飛んでいたり。よく見るともっと背後にもう1機、ひっそりと見つけたり。野生の鳥類のハントの秘訣にもありそう、1機見つけたらあと2機はあると思え。何事も、わがごとにならないとわからないものだ。


いっぽう、航空会社ごとに異なるデザインが多彩で面白いな、と思ったり、遠目から見ることはあっても近くで下から眺めることはなかったので、白いお腹が犬や猫のようで可愛らしく思えた。キリッとした顔立ちと翼に裏腹に、無防備なぷくっとしたお腹のギャップが、いい。とてもいい。


今まで知らなかった発見や湧き上がるきっかけがなかった興味に触れた。これも、東京でオリンピックが開催される運びとなった副産物だ。2020も付けて正式名称になっているから、年が明けてもこの話題になると、燃え尽きたあとの白日夢を生きているような実感になる。現在進行形で2020年に開催されなかった幻のオリンピックを、幻の東京では記憶しているんだろう。SFを生きてるみたいだな。


夕刻、オレンジ色をまとった飛行機がキューンと飛んでいる。夕陽が眩しく、色濃くなってきた。春も盛り。