2022/06/14 敵意とから揚げ

朝の空は一面、鼠色。
太陽が隠れているのだろう、東の空の一点だけ明るかった。


「いっちばん強いステロイド薬」の効果はてきめんだった。痒みはほとんどない。全身に広がっていた赤い斑点も、少しずつしかしながら着実に後退している。



今日はオフィス勤務。
電車内は立ち客のスペースには余裕があった。

前に立っている、少し芋っぽいスーツ姿の男性が、なにやらスマホを立て続けにスクショしていた。
ちらっと目に入ると、ツイッター上のフェミニストが繰り出すツイートを次々と保存していた。

いつかどこかで身を助ける武器を揃えているのだろうか。
いつどこで効果を発揮するのだろう。


駅に着き、降りる彼と入れ違いにして、若い女性が乗車した。空いた席を指し、座るよう促す。控えめながらも強い意志を感じさせる手のひら。
その背後には、スーツ姿の男性がいた。先輩だろうか。なんとなく、眼差しが澱んでいる。
後輩さんの「座れよ」の念をスルーして、彼女の隣に立ち、世間話をはじめる。男性は後輩さんに身体ごと向いて話すが、そのアピールの相手といえば、取引先と思しき企業の資料に目を通しながら受け流していた。




昼休憩。
チェーン店のから揚げ定食。
さすがはチェーン店。美味しさがまとまっている。
高校時代に足しげく通っていた、弁当屋のから揚げを思い出した。
口の中が火傷するほどアツアツ。
ハフハフと咀嚼すると溢れ出る肉汁。
備え付けのサラダパスタと福神漬け、ちくわの天ぷらがアクセントで、白米とかっ込む。

閉店したらしい。
最後にもう一度食べたかった。



雨はまったく降っていないが、多くの通行人が傘を差して歩いている。気まぐれの降雨も午後には本降りになるらしい。