2021年11月23日 文学フリマ東京を終えて

昨年春より幾度も目標としていた文学フリマ東京が、無事、終了致しました。


かくいう私も、この星の数ほどのブースが出店していたなか、『緑の雨文芸』としてそのごくごく一角でひっそりと出しておりました。


2018年秋に仲間と共同でブースを出していたことはありましたが、今回は始めから終わりまですべてひとり!よくいえばひとり、悪く言えばワンオペです。
以下、ワンオペでいきましょう。



今回は、昨年にすでに完成していましたが胸を張り新刊新刊と言い張っている東京アンソロジーを筆頭に、アンソロ参加者のみなさんからお寄せくださった作品も併せての頒布となりました。

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総勢、7冊!
色とりどり、賑やかですね。準備段階からときめいていました。

ブースに入るかな…?と不安もありましたが、無事収まって。まとまって。「ブース」感に少しグッとくるものがありました。
自宅でのシミュレーションの段階で。



そして迎えた当日!


開場1時間前入りし、ブース設営。
もちろんワンオペですので、余念なくやっておきたいですね。余念なく丁寧に、位置を考えつつ作っておりました。


そして値札をさあ、貼ろう!という時になって、ふと会場にアナウンスが…


「それでは文学フリマ東京、ただいまから開場です!」


ええええ!!
不器用すぎる!
段取りから手先までことごとく不器用すぎる!!


プラのディスプレイに貼っつけるセロテープと指が絡んであたふたしながら、なかなかアワアワと仕上げの値札を貼り付け(これなくてどう買えというんじゃ)。


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ついに、開場です。
人が少しずつ入ってきて、次第に通路は賑やかに。売る側も多種多様であれば、手に取る側も多種多様ですね。安心感を覚えました。


が、私は今は売り子。ワンオペ売り子。接客やテキパキとした動作、臨機応変さに関していえば、胸を張って「自信がありません」と言える、バツグンに適材適所の売り子です。


試行錯誤と悪戦苦闘、それを表に出さない面構えと身体の姿勢!なるほどちぐはぐ。
道ゆく人に挨拶したほうがいいのか、目が合って会釈程度がいいのか、立ち止まってくれた段階か…さらに進んで、試し読みをしてくれてる時に説明をしたほうがいいのか、そっとプレッシャーをかけないで目を逸らしていたほうがいいのか、立って待っているほうがいいのか、はたまた立たれるとプレッシャーか……


などなど、昼休憩を挟み他のブースに立ち寄りつつも唸って唸って、いつのまにか時間がかなり経過。気がつけばあと1時間ほどで撤収となっておりました。

文学フリマは12時から17時までの開催。始まる前は、長丁場を乗り切ろう、と意気込んでおりましたが、案外、早いものです(とか言いながらめちゃくちゃ疲れて終盤は人型の泥でした)。



終わる直前ですかね。
知り合いの方が出されてるブースに行って、作品を購入しました。
そのときに2名売り子さんがいらして。同じ売り子としては容易に語っちゃならないなと思うくらい親しみやすい雰囲気の方々。
「これ、ひとつ買います」と言って、お願いします、と。
その瞬間、お二方、すごく嬉しそうにして下さったんです。それが、ものすごく印象に残っています。


なるほど!
これか!と。
俺にはこれが足らんのかー!と。
それがあると、相手はこんなに嬉しいんだー!!と!


胸いっぱいに注がれた人の温かみと、文フリの売り子という範疇を軽々と飛び越えた、俺の「何か」に促される自己反省が沁みました。
すいません後半蛇足でしたが、ありがとうございました。



といった感じで伺えたのは1ブースのみ。
とても親しみやすい方がお隣になったので、心のなかで安堵しつつ、1冊購入したのも合わせると、外出して買ったものは計2冊となりました。外出リハビリにはほど遠いですね。


ずっとアワアワしたままの未経験引きこもりワンオペ売り子は自分のところで精一杯。17時なんて一瞬一瞬。



その後の撤収作業も、残った作品を家に送り返す宅急便配送の締め切りギリギリに受付にお出しするくらい。ひとりの片付けは時間かかりますね〜。
そんなときに、お隣さんから「お疲れ様でした〜」と甘いお菓子をお裾分け下さいました。また、同じ参加者(スタッフさんではなく!)の方々が、チンタラごちゃごちゃしてる私の長机を代わりに片付けて頂いたりしてくれました。
これが、たまらなく有難かったです……。



いわば、同じくブースでいかに興味を持ってもらえるか、いかに買ってもらえるか、いかに知ってもらえるかを試行錯誤し悪戦苦闘した(と勝手に決めてかかる)私たちは戦友みたいなもの。

そんなかれらから、こうして善意の想いを頂いたわけです。これがとても有難かった…沁みました。


何もお返し出来なかったのが心苦しく。
次出すときは、その余裕があればなと思いました。



撤収もほとんど終えてがらんとした会場を後に。
エントランスも抜けると、真っ暗な夜空と、熱を冷ますような乾いた風が迎えてくれました。



そうか、祭りが終わったんだ。
文学フリマの閉幕だ…。


言いようのない充実感と、心にポッカリ穴が空いたかのような寂しさのミックスが、胸にあたたかく満ちたのでした。



ということで。
単刀直入に、また、文学フリマに出店したいです!!



次こそは工夫できることは沢山あるな、と、大いに学ばせてもらいました。

そしてなにより、自分の作品を手に取ってもらえ、作品を目の前で説明したり、プレゼンをする刺激感と買って下さった時の喜びは、言葉では言い表せないものがありました。

みなさん、本当にありがとうございました!


また、みなさんとのご縁がありますように。
今後とも、よろしくお願い致します!