三谷幸喜と共感性羞恥の話

スーパー銭湯のサウナには、テレビがある。縦に積まれた段差のどこに座っても視線の先にはテレビがあって、スピーカー越しに今やっている番組が見れる。


某日、夜。
ちょうどサウナに入ったとき、そこでは乃木坂系のアイドルグループが歌って踊って、を映し出していた。歌番組。過去放送のダイジェストらしい。センターで踊っているのは、三谷幸喜

なぜだ。キレがいいといえばキレがいいが、三谷幸喜が乃木坂のダンスのキレがいいことをどんな顔で見ればいいんだ。


誰よりも真剣に踊る三谷幸喜
野太い声で歌う三谷幸喜
少しずつ息の上がる三谷幸喜
若い女の子のように溌剌と歌って踊るおじさん・三谷幸喜
「それが面白い」を提供するサービス精神溢れる三谷幸喜


どんな顔で見ればいいんだ。
産まれたての姿で全身汗をほとばしながら。
満員のサウナには、若い男子グループからひとりもん、常連おじさん等さまざまな男どもが、戦況を見つめていた。
100℃に近い環境下、「早く終われ」の無言の圧力。
終わるまで目を瞑り頭を垂れながら、やり過ごす俺。



その後の水風呂と外気浴が、いつもよりよかった。