2018-01-01から1年間の記事一覧

コーヒーひとり

‪ひとりの私は余分な量のコーヒーを淹れた。 コーヒーがたぷたぷとドリップされていく。 その音が聞こえたかのような無音状態の朝、 私のコーヒーはさぞ美味しかろう。‬ ‪ 小さなカップにさらさらと注ぎ入れる。 ひとりのリビングで、 私はひとり、 そう、 …

感覚と生についての実験

睡眠薬を飲んだ。 20分前に、私は1錠の睡眠薬を体内に摂取した。 そう、1錠の睡眠薬を体内に取り込むこと、それは睡眠欲のオン・タイマーを、身体に埋め込むことだ。然るべき時間が経過すると、リンリンリンとアラームが鳴り出し、自動的に身体の末端から、…

春の満開によせて

暦は定刻通りに春を迎えた。 いくら異常気象が流行ろうとも、四季というより二季ですね、なんてニュース番組でコメントされようと、そんなこと、構うはずがない。どなたが造ったかわからない設計図のとおり、この一年もまた、四季は一寸たがわず巡りきった。…

肉体と精神に関する嘆願書

当然ながら、私には肉体がある。 なぜに魂には肉体が付随しているのだろう。おそらく、あらゆる問題の根本には、肉体が関係している。煩いごとの根底に、私を煩わす張本人として、肉体があるだろう。なぜ私を煩わすか、それは、肉体には、感覚が備えられてい…

「性的」とできあがった詩集について

‪私は「性的」を知りたい。‬‪この欲求はいつまでも尽きず、なにか創作としてかたちにしたい、と画策していた。が、なかなか書けなかった。「性的」を書こうとすると、なにを書けばよいのか、わからない。ただ、なんとなく、解釈を拡大すると、すらすらと書け…

今朝にみた夢

新・元号が決まったことを、今朝の新聞で知った。「清明」だそうだ。清明、かあ。まさか、二十四節からコピペだなんて、誰が予想しただろうか。ふつう、"ない"熟語が元号になると聞いたけれど、そうかあ、清明かあ。4月のはじめごろ。雨水、啓蟄、春分、そし…

15号車のボックス席で生きる心地

きっと私は、寂しい話がしたい。 寂しくて、哀しくて、悲痛で、救いようのない……と、本人だけは感じている話をぽつぽつと語りはじめて、相手もまた呼応するように、大切にしまっていた、本人だけを狂わせてくれる話を聞かせてくれる。そうして、私の浅はかさ…

非言語から生み出されたメッセージ

私には英語がわからない。だから、今聴いている米軍放送の、ABCニュースの内容はすべて、フリースタイルのヒップホップとかわらないのだ。調子がよく刻まれるライムに、合間に挟まれる音楽が間奏みたいだね。本当のところ、米軍放送のニュースにはどんな皮肉…

「あの日々」を生きて

この文章は、通っている事業所で、訓練生の方々が作っている『就活通信3月号』のフリースペース欄に寄稿したものです。 春の香りに満たされゆくころ、私はふたたび思い知るだろう。遠い昔に思いたかった「あの日々」は、今もなお、くっきりと、しっかりと、…

ミッドナイト・コーリング

当たり前のことだが、きみを好きな人もいればきみを嫌いな人もいるだろう、しかもそれは、なんとなく、かつ直感的に。でも、理由はたったそれだけなので、それはそのまま、そうあるべきだ。私もそうならきみもそうだ。当たり前のことだが。 夜になって哀しく…

さよならだけが人生ならば、

私は、病に苦しんだが社会に苦しんだ経験がない。つまり「社会経験」が乏しい。 ほぼ毎日通っている就労事業所には、そのどちらにもがき苦しんで来たひとたちがいる。そのひとたちに、私はさまざまな想いを抱きながら、通所と訓練を続けている。ひとことでは…

順風満帆

手抜きで申し訳ありませんが、私のインスタグラムに書いたキショイほど長い文章を、まんま転載いたしました。つきましては、読んで! 人が醜い生きものだと、あまりにも思いたくない性質が生んだ、よりより暮らしのためのライフハック。「順風満帆」を考えて…

空想・スケッチ・ふきだまり

恋がこれほどまでにひとを苦痛に陥れる病であり、かつ、古代から不変の大病であるならば、すでに、それだけで、この時代まで生き永らえた人間という生き物が、強靭で愚直なものだと、きっぱり証明できてしまう [2017/08/29] 人間は強靭で愚直なるいきもの、…

『祈り』

思いどおりにいかず 言いたいことも仕舞える弱さが わたしを明日に生かすのだ ついにとざされたまま きっとわかりあえない きみとわたしは同じいきもの はるか遠方にめざめた性に 春一番に遊ばれた艶っぽい髪を 梳いた人の手がひどくつめたいことも きみは知…

きみの一秒後

きみには夢がある。ありとあらゆる理想の自分が頭のなかで笑顔でいて、なんども優しく呼びかけているんだろう。こっちへおいで、こっちがすきでしょう、素直になりなよ、って。さらに、若い自分には、未来があると信じてやまない。何年後も、何十年後も、し…

『愛の行方』

ひとりよがりの恋に遭い 引き千切られたカスミソウ きみは偶数わたしは奇数 よびあう声の微調整 境界線の内側で ふたりにまつわる互換性を しっていたんだ、 しらなかったよ さよならまでの道筋は、 きみが、きみの、きみと、きみを とうの昔にきみを超え わ…

散文セット

意欲って、どうやって手に入れるものなのだろう。だいたいこの時間、1日の終幕付近の午後7時から9時にかけて、私は毎日、持て余す。なにをしよう。それと、あともうひとつ。私はなにがしたいだろう。心で考えるにはあまりに足りないため、頭のなかにスッと信…

『冬があける』

春のよそよそしさに言いくるめられ孤独な欲のかたまりに触れたこと身近で手頃な一輪の、そのひとひらにだけ教えてあげる 朝にいれたコーヒーがうすくひどくつめたい味がしたはじらいと戸惑いの夏の合間、飲ませてやればよかった またあいたい、またあいたい…

アップデートに立ち向かえ

さて困った。理由がわからないけれど、とにもかくにも頭のなかがキメたように暴れていた。こんなにもアッパーな絶望がかけめぐるのは、なぜ。困りはてた私は、またもなぜか、だれかと話がしたくてたまらなくなった。そんな、話すっていうけれども、どんな話…

薄く笑うひとの火はか細くて

居酒屋、となりの席から、「セックスするたび傷つく気になる、苦しくなる」と漏らしていた女子に、「でもセックスできるんだからいいじゃん」と悪びれることもなく言い放った男、とのやり取りが聞こえてきてしまった。その男、何もわかっちゃいないくせに、…

朧月夜

ついに抑えも利かなくなり、私をしきりに襲うわずらいごとがある。その中身は、できる限り思考を避けたかったこと、見て見ぬふりをしていたかったこと、そして、いったい何者か、私自身もつかむことができていないことだ。これまでも、このことで、何年もの…

花曇の街で (1)

さいごに創作を完成させたのは、おそらく高校の4年目のこと。だから、かれこれ6、7年は書きあげていない。いや、書きはじめてすらいない。なので、今年書きはじめるとしたら、そして順調に書きあげることができたとしたら、20代ではじめての小説になり、それ…

もの思い・せつない

なくしたものやなくすものを時たま想うため、暖かい部屋に少しだけとどまりたい。あのひとが優しかったこと、あのひとの言葉が心を小さく灯したこと、言葉をかわさずともなにかが通う、そんな予感がすること。今はもういないひとを想うことは、ただの想い出…

大雪警報の年

東京の冬が、力をつけてきた。 この街の冬は、1月も更けていくころになって、ようやく本領発揮のときを迎える。もちろん、枯葉が道に落ちて、すばやく掃かれ、やがてなにもなくなったころに、冬はやってくる。たえず乾いて冷たい、かたい風が、ビルの谷間を…

前口上

昨日書いたことを読み返せないのは、自分の書きあげた文章が、翌日には未熟なものに思えるためだ。 未熟がずんずんと積み重なって、私のブログ歴は伸びていく。それがむず痒くもあり、単純にイヤでもあるため、クリックひとつで済む手軽さに甘えて、これまで…