『冬があける』

春のよそよそしさに言いくるめられ
孤独な欲のかたまりに触れたこと
身近で手頃な一輪の、
そのひとひらにだけ教えてあげる

 

朝にいれたコーヒーがうすく
ひどくつめたい味がした
はじらいと戸惑いの夏の合間、
飲ませてやればよかった

 

またあいたい、
またあいたい日にかぎって
冬のはじまり
月夜の季節

 

きみがいた部屋、外は吹雪
目がくらむ熱はストーブによるもので
肌のうす弱さをなくしたときに
嘘の季節がおわる