順風満帆

 手抜きで申し訳ありませんが、私のインスタグラムに書いたキショイほど長い文章を、まんま転載いたしました。つきましては、読んで!


 人が醜い生きものだと、あまりにも思いたくない性質が生んだ、よりより暮らしのためのライフハック。「順風満帆」を考えてみよう。
「順風満帆」という言葉がある。だいたい、「物事が思い通りに進むこと」を指していて、ざっと、概して人生に向けられる言葉として用いられる。
 でも、この世に、さらにはかつて「この世国籍」をもっていた先人もふくめ、順風満帆な人間がいたかと思うと、そんな人はいないだろう。いや、絶対にいない。それなのに、この言葉が、なぜ2010年代のおしまいまで、消えるどころか燦然と輝き続けているのだろう。なぜこの言葉を、グッチシャネルルイヴィトンばりに身にまといたくなるのだろう。
 ……と、ここまで考えると、人間ってかわいいと思える。あくまで私は、だけど。人間は馬鹿で愛らしいとさえ思える。私も立派に人間なので、そう思ったとしてもバチはあたらないだろう。
 どれほど歯をくいしばる境遇や人生のなかにあっても、「順風満帆」というフリー素材の言葉は、いつもいつでもポツネンと用意されている。「順風満帆だよ」と言えば、それっぽくなる。あしたはそうなるんじゃないか、と思えたり、まさか、と泣くことができたりする。
 なんてことだ、と思いませんか。なんて自由な生きものなんだ、と思いませんかね。
 私も私で、おなじように順風満帆からはほど遠く生きている。大学時代までヒーヒー言っていたし、大学出ても無職だし、年金を受給しているし、すぐにぶっ倒れるし。でも、そういう私も、どこかしら馬鹿で愛らしくかわいい生きものの面があるんだろう。
 指向は順風満帆です。夕飯がおいしければ順風満帆、いい飲みができたら順風満帆、東京大好き順風満帆、どうしましょうかね、わかりませんね、順風満帆。……来年の春には、就職をしていたいなあ。できる気しかしない。アハハ……
 こんなはなしをしようと思ったのは、母校の高校のことを思い出したから。都立新宿山吹高校。唯一の母校のことを。それだけ。私は生きます、貴方はどうでしょう。


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