2017-01-01から1年間の記事一覧

パティニール・ブルー

美術に疎いが興味の感度はいっちょまえ、な私は、毎日の予定が何もないことをいいことに、平日の東京都美術館の敷地に足を踏み入れた。煉瓦の赤土色が映える館内を、慣れない者らしくおろおろしながら、ふらついたまま「『バベルの塔』展」へ。 ブリューゲル…

田園風景

郊外電車に乗って、埼玉県内のとある街へ。大宮を出ると、ビルや住宅の密度がゆっくりと薄まっていき、3駅ほど抜けると、辺りは緑に囲まれた。やや傾き始めた日差しをまぶしく反射する水田。目線をあげると連なりそびえたつ鉄塔。関東平野の果てにそびえる山…

最高気温30℃を翌日に控えた20時前

暑くもなく寒くもなく。半袖でもなく長袖でもなく。このくらいが丁度いい。偽物でない夏が来る。その前に梅雨も来る。不意打ちの長雨。時折の雷雨。晴れになるほど、または天気が荒れるほど身体が元気になる私とすれば、中途半端な雨量で攻めてくる梅雨が好…

2355

深い考えなしに見ているEテレのなかでも、心の底から頭を使わなくていい素敵な番組、それが2355。癒しの5分間。何の意味もない。細野晴臣が歌うテーマ。最高。 一時期、高校生のころだったかな。姉妹番組、0655も見ていたんだけど、無意識下で「いや、その沼…

コンタクトレンズ

コンタクトレンズを外すときの、指が眼球に触れる、あのぞわっとする感覚。禁忌に触れたかのような背徳感。あと単純に、「いたそう」の気と闘う恐怖。で、はずれたとわかるや否や味わう爽快感。指にはりつく乾いたレンズをすぐにゴミ箱に捨てたくなる感情。 …

2017/05/24

湿った夜風が、レースのカーテンをふっと揺らす。レースの格子のあいだを通り抜ける。部屋にふわっと入り込む。多少の湿気は、カーテンが絡めとってくれたのだろうか。湯船からあがったばかりの身体を、涼風が撫でていく。ある年の12月によく聴いていた曲を…

2017/05/23

威勢よく眠ろうとしたが、そもそも元気なころに意識を飛ばせるはずがない。いくばくかのチャンスはあった。魂が身体から抜けはじめた感触や、両手両足が、時間をかけて透明になっていく実感もあった。それなのに、いやそういう局面だからこそ、ついつい欲が…

2017/05/21

とにかく暇をしているときがある。ただただ何もすることがなく、手持ち無沙汰がピークに達したようなときだ。時間をドブに捨てているように思えるも、それでもせっせと時間を手放し続けるあの気だるさ。しかし心の底では、しなければならないこと、課されて…

2017/05/15

5月も半ばに入った。天候が揺れに揺れる。暑さに適応する準備をはじめた途端、肌を逆なでするような寒い日々が訪れる。中間がない。ちょうどいい日がない。おかげで、のどの奥に若干の違和感がある。頭もくらっと揺れる。風邪の手前も手前の体調だ。若干怯え…

2017/05/08

とある日、コーヒーを淹れた。コーヒーを淹れてみた、という言い方が正しいかもしれない。 日も暮れかけたころのこと。夜が片足を突っ込むころ。ふと、「コーヒーを淹れよかな」と思い立った。しかし、カフェインに弱い私が、そんな時間にコーヒーを飲んでし…

2017/04/23

これが私の選択なのだ、と、私を信じてあげたい。私の選んだ道を、私が進むことを、肯定して守ってあげたい。前進するための準備を、私は今まさにしているのだ、と、抱き締めて、前へ促してあげたい。 私を愛しいものとして抱き締める。たとえ形から入るとし…

2017/04/02

黒が好きだ。死と生のすべての色。遠くで見つめていたい。

2017/03/28

これからの日々のことを考えている。せめて、これまでのことではないことをしっかり考えたかった。少しは夢のある、かつ現実を見ている未来について、じっくりと思考を巡らせたかった。 しかし、出てくるのは悲しい未来だった。真っ先に死ぬ場面を考えてしま…

2017/03/18

前日の夜はなかなか眠れなかった。身体中がさざめき立ち、ひとりでに右へ左へと向きを変える。眠ろうとしているはずが、頭のなかに静かに吹き荒れる考え事を見つめている。ひとつのピリオドが打たれるときまで、あと少し。絶えず続くと思われた、それも幻想…

2017/03/13

過去の記憶を遡ろうとすると、必ず一旦停止する場所がある。止まらずにはいられないのか、無意識に止まるのか。従順に停止したその場所には、人の死がある。身近な人の死の匂いが漂っている。しかし、必ずしもそれが悲しい記憶というわけではない。その記憶…

2017/03/09

病院に到着した時には、精神科の待合室は混みあっていた。横並びにずらっと椅子が並び、色素が薄くなったような人間で敷き詰められる姿は、たとえば外科や内科のそれとは一線を画すだろう。精神科は、古い建物の一角にある。隅に追いやられている邪魔者、と…

2017/03/08

大学へ向かう。家と大学を往復するたびに、財布が薄くなる。今日は、やはり寒かった。声を出すことにもためらう、萎むような気温。それでも、日差しは春のもので、車窓から見える風景は、暖かくやわらかなものだった。そういえば、いつから日差しが春のよう…

2017/03/07

このところ、シクラメンを日光にあてている。部屋の中にいるだけでは腐っていくのではないか、と、不登校の子どもをもつ親のような心配をもってのこと。我が家の室内は、日の当たる時間が短い。朝も過ぎていくと、日の光が入らなくなってしまう。そのため、…

2017/03/06

少しだけ、私を可哀想で悲痛な場所に置きたくなることがある。そう感じるのは、大抵深夜を迎えたころだ。私を真っ暗な場所に落としたら、何が見えてくるのだろうか。知らない私の姿が、晒されることにならないか。その場に私が立ち会ったら、私はどこへ行っ…

2017/02/22

これからの不安は多分にある。不安ばかりが目に留まる。なんの成功体験も持ち得ていない自分は、どうやって自信を持っていけばいいのか、と暗くなる。そんなことばかり考えるから、視点を変えようと、料理をすることにした。カロリーが高いものは食べたくな…

2017/02/21

なにをしても情けなくなる時があるんだ。いや、ほとんどそんな気分だ。起きてから寝るまで、そんな事ばっかり考えちゃうんだ。髪を引っ掻いてもこの気持は取れるわけはないってわかっているけどさ、どうしても引っ掻いていないと、もう自分が消えてなくなっ…