2017/05/23

 威勢よく眠ろうとしたが、そもそも元気なころに意識を飛ばせるはずがない。いくばくかのチャンスはあった。魂が身体から抜けはじめた感触や、両手両足が、時間をかけて透明になっていく実感もあった。それなのに、いやそういう局面だからこそ、ついつい欲が出てしまう。「あ、いけるな」と思ってしまった。これは楽勝、落ちるだろ、と、油断の表情を見せてしまったのだ。そうなってしまってはおしまいだ。我を出してしまうと、眠りからは遠のいてしまう。そして私は、部屋の明かりをつけるに至った。あともう一歩のところだったのに!今となっては、まったく眠気がない!


 日付は代わるも昨日の延長だ。しかし考えごともとくにない。どこかに置いてきてしまったような、空白のある心の静けさがあるだけだ。足りないものはない。溢れるものもない。欲しいものも、捨てたいものも、思い当たらない。ほどよく満たされている。過不足がない。でも、たしかに空白がある。どうしたらこの空いた1ピースを埋められるのか、途方に暮れる。いや……ただ眺めている、ような感覚か。以前よりも寂しさや孤独感は、大いに少なくなった。それどころか、ひとりでいながら、親しい人たちの心強さを感じているほどだ。寄る辺のない現状でありながら、かつてない充足感。不思議な意地。……なのに、惜しいなあ。


 深夜のラジオを聴いている。こんな時間にひとりだからこそ、大胆かつ下品に笑っている。