散文セット

 意欲って、どうやって手に入れるものなのだろう。だいたいこの時間、1日の終幕付近の午後7時から9時にかけて、私は毎日、持て余す。なにをしよう。それと、あともうひとつ。私はなにがしたいだろう。心で考えるにはあまりに足りないため、頭のなかにスッと信号を送ってみる。しかし、返ってくるのは「検討中」の一点張りだ。そんなものだから、新しいことをすることもなく、だいたい好きな音楽を流しながら、こうして文章をくっつけていく。これは、典型的なひとり遊び、だったりするのかな。するのだろう。じゃあ、ここから先は、散文遊びをしますね。

 

 

<文章>


「文章を書く」ことと「文章をくっつける」ことは、厳密には、違う。私にとっては、大いに異なる。意思によってひとりでに連なった行為を「書く」として、「くっつける」行為は、ひたすら散文に散文を重ね、言葉遊びや語感遊びに耽りながら、一文単位で配置換えをすることだ。より熱が入るのは前者、より楽しいのは後者。ということで、いまはどうも、楽しみたいのだ。
 そうそう。言葉を使うのは、楽しい。言葉を組み合わせ、付け足したり引き算したりしながら、もの思いの輪郭の解像度をあげていく喜び。この喜びを知ってしまえば、もう文章から離れられない。離れたくもない、傍にいたい。そんな思いをもちながら、言葉をえりすぐり続けている。
 ひとによって、言葉の使い方は異なるだろう。それがそのひとの個性であり、私の個性でもある。そこまで書くなら、私のこだわりも説明したくなってしまう。じゃあ、説明しよう。
 私が意識しているのは、「読み上げて心地よい言葉の行列にする」ことだ。それは、たとえば語感。声に出したとき、リズムを感じながら、次の言葉に移りたくなるように、自分なりに書いている。語感のほかには、目に心地よい、柔らかい言葉にすること。ひらがなか、カタカナか、はたまた漢字にするか。そのいずれかを選んだならば、前後の言葉はどれを選ぼう。どの言葉にすれば、柔らかい印象になるだろう。
 そうそう、柔らかさ、ということも重要だ。なるべくは、書いた本人もまた、近しさを感じる文章がいい。目指すは、中性的な言葉づかいだ。男性的でも女性的でもない、かつ両性の土に水をやるような文章。それが私の意識づけで、目標だ。
 あ、もちろん、そのこだわりは、まったく苦にならない。むしろ自分が納得できれば、タイピングは速度をあげていく。快感はましていく。楽しくて仕方がないのだ。今回の文章は、ひときわ楽しい、かもしれない。

 

 

<音楽>

 

 ひたすら音楽が好きだ。現在手に入れることはできていないが、YouTubeでたやすく視聴ができる曲を紹介しようと思う。もともとこのブログでそんなこと、するつもりはなかったのだが、楽しいからやってしまおう。

 

1.Peanut Butter & Jelly / カーネーション


カーネーション「Peanut Butter & Jelly」Music Video

 

 深夜ラジオから流れてきたのは、艶のある歌声と、春夏を揺蕩うその音色。秋か冬に聴いたとき、これで乗り切れる、と思えた。一発でハマった。

 

2.496km / ENTHRALLS


ENTHRALLS / 496km

 

 これも深夜ラジオから。和牛が一夜限りのオールナイトニッポンを担当した回に、ボケ役の水田信二さんが紹介していた。鋭いながらもすがりつく女性ボーカルの歌声、ウェットでもドライでもない絶妙なラインの、自立心のある曲調。

 

3.このままがいいね / シャムキャッツ


このままがいいね ( Stay Like This) ー MV

 

 曲もさることながら、MVも好き。まさに「このままがいいね」を体現している。でも、ときどき、揺曳する。このままを乱す心、このままが乱れる誘いが、映像のなかにある。『君の町にも雨はふるのかい?』以降から少し離れてしまっていたけれど、ああ、これは好き。「好き」以外の語彙力を奪ってくれるな。

 

4.エスパー / ミツメ


ミツメ - エスパー

 

 なぜ淡々と語れるのだろう。淡々とした語り口で告げる感傷。きれいな音も不協和音も、そのいずれも優しい。冷ややかであたたかい。

 

 

5.Lucky Girl / Fazerdaze


Fazerdaze - Lucky Girl (Official Video)

 

 「性的」と「エロティック」は、きっと、似ているようでまったくの別物。それらを厳然とわけるものは、欲望にひけをとらない憂鬱があるかどうか、だと思う。憂鬱のある性は、人間くさい。この曲はちゃんと憂鬱な空間にいる(ように感じた)から、性的で好きです。

 

6.summer baby / サニーデイ・サービス


Sunny Day Service - summer baby【official video】

 

 夏を写実的に描いた曲。ああ、夏って、こんなだよな。夏の皮膚感覚が、そのさなかにあっても、それ以外の季節にあっても、容易に浮かぶ。ああ、何度でも聴いていたい!

 

 

 よし。このあたりにしておこう。

 

 

 好きな音楽を聴くことも、文章をくっつけることも、そして両者の組み合わせもまた、きっと「私がしたいこと」なのだろうな。ああ、充分にいい時間をすごしてしまった。ちゃんと意欲だっていた。感情移入が強いからか、このところのこのブログでは、文章を書くうちに本人が思ってもいない方向へ話が進んでしまうことが多かったのだが、久しぶりに一人称が私のままの文章が書けた気がする。どうもありがとう。