2022/07/05 夜行布団で

夜になると身体がズシンと重くなる。
真っ暗な部屋の中で、自分の影が濃く重く引き伸ばされていく感覚。よからぬことを考えやすく、悲観的になりやすい。
誰もが通ってきた道だろう。
かつ、今も振り回されている人が数多いるだろう。
俺もそのひとりだ。眠れない。


深夜という時間帯は、ダウナーになりやすいという。
身をもって感じる。
だいたいメンタルの谷間は眠る直前。いつも血みどろ捨てごろのひと試合してから眠りにつく。
しかし、この時間の月はなんと魅力的なんだろう。
天気のいい日はベランダに出て、月の輪を眺めたり、月影をボーッと見る。ただ無心で。それがいい。
自室に戻り、布団に入ると、あんなに格闘していたのが嘘のように寝つきが良くなるのだ。


深夜が人々の鬼門となってしまう理由は、月に絡めた宗教めいた眉唾話はいくらでもあるが、結局、太陽が沈むことによって気持ちが暗くなるらしい。太陽から分泌されるセロトニンが切れることによって、メンタルが不安定になりやすいのだ。
セロトニンは偉大だ。太陽は素晴らしい。
朝、起き抜けがいちばん効果的にセロトニンを取り込めるそうだ。朝日がたまらなく心地よいのはそのためか。



月も好きだが、太陽もまたいい。

ちょうど去年の今頃、会社を3か月休職していた。
メンタルの不調が1段階深く行ってしまい、思うように動けなくなってしまった。元気な人でいう「適応障害」のようなもので、はじめは近所の図書館に歩いて行くにもままならなかった不調が、まとまって休養していると、次第に普段の体調へと戻っていった。
その3か月、よくしていたことが、夕日の写真を撮ることだ。とくに7月は日も伸びて、日差しも色濃くなっていく。微妙な色合いや光の明暗、雲の配置など全ての要素が合わさることは、その日をもって二度と起こり得ない。その妙味を楽しめるのは夏の夕景だろう。
うまく眠れなかった日は、日の出を待った。
いろんなことを考えすぎた末に全部忘れて、ただただ、ぼけたんと眺めていた。




明日起きたら、あえてベランダに出て、朝の柔らかい光を浴びよう。





雨かよ。