2022/06/30 止まり木

10分歩いているだけで、汗が泉のように噴き出してくる。
冷房の効いた場所にいても、体内がひどく火照って、内側から熱にやられる。
どこにいても危ない暑さ。
麦茶、緑茶、スポドリ、水…。
ペットボトル飲料水を切らさず、ひたすら喉を鳴らす。
歩かずとも、外でも中でもどこにいたって水分は必須。
そんな木曜日。
今日は休み。
張っていた糸が緩んでいく。




久しぶりに、人に会う。
少し、背筋がピンとする。

コロナが流行してから、人に会うことが極端に減った。
今もまったく変わらない。仕事以外で、人に滅多に会わなくなった。
今日の、付き合いの長く深い友人に会う約束をしただけでも少し緊張が走ったんだもの。人慣れをしなくちゃな。


前回は、桜並木の下歩きながら、いろんなことを話した。
彼女に会うのは3ヶ月ぶりだという。
春がずっと前にも思え、前回会ったのはより以前のことに思えた。


コーヒーが美味しく、今どき全席喫煙が好ましい純喫茶で待ち合わせ。
この店は、2年半前の凍てつく年末に見つけて、それ以降、通っている。2年半前の年末いえば、父が敗血症で倒れた頃だ。搬送され、集中治療室で奇跡的なカムバックを迎えることとなった大学病院の近くだ。


汗だく、湯気を出さんばかりに入店。
着席。
お冷やを一気飲みしつつ、アイスコーヒーを注文。
席に運ばれた瞬間から、どことなく冷気がサッと漂う。
ストローでチューチュー吸うと、苦味とまろやかさ、それから煙草のスモーク感とが相まって、とっても美味しい。
氷が透き通って、時折からん、と涼しげに鳴った。


所用から合流した友人は、メロンソーダを頼んだ。
近況を語り合う。
お互いの誕生日が近いのもあり、記念に1日空けて写真撮影をすることになった。
盛夏のどこかで。


気がつくと、すっかり日が暮れ、店を閉める間近に。
そういえば、お互い、グラスはすっかり空っぽだ。

店を出ると、ムンと湿った夏の夜が迎えてくれた。
夏生まれは夏が好きだね、と笑って、地下鉄の入口で手を振り別れた。