夏への積み荷リスト

たとえば、
よく晴れた青空に、
五月の陽射しに乱反射する街の光に、
藤の花の、
子どもの雨靴みたいな、
可愛い、うすむらさきの花弁に、
ソフトクリーム、
真っ白なよく溶けるソフトクリームと、
五月の陽射しの強さに
細めた視界に残存する、
バラの花の激しい赤い色や、
強い光にあてられて濃くなりはじめる影、
夏の気配をさらさらと流しゆく長雨、
街が青色に染まったような、
青のフィルターがかかったようなあの感じ、
傘をさしながら、
しとしとと湿った肌が、
雨粒の反響音に冷却される、あの感じ、
霧のような雨のなか、
夏の手前のひとつの洗礼のように、
青い水玉のような記憶を取り出しひんやりさせたり、
霧のような雨のなかのこと、
とか


ことしもまた、
積み荷に載せて、
ことしの夏に向かうためのリストをつくる