2022/06/27 日暮れと追想

帰路の湘南新宿ラインの車窓から、夕陽に焼けつく西の空が見えた。渋谷、新宿、池袋のオフィスビル群が、次から次へと夕暮れの影となり、矢継ぎ早に過ぎ去っていく。今日という空の終わりを、フィルム映画の一コマ一コマにして、スローモーションに映写する。


イメージの内側で、あいつの言葉を思い出す。
しかし、もはや虚空をうわずったまま、塵となり霧消するばかりだ。


梅雨のわりに、関東地方は夕陽が美しかった。
向こうが美しく見えると、一方こちらは、ひどく青白く、薄暗く感じられる。
虚しさと無味乾燥さを舌先で何十年と味わう日々で、幾度もこうして、LED白色蛍光灯漬けの車内から、ふと、美しい情景を眺めていくのだろう。
明日からも。


湘南新宿ラインは、満員の通勤客を載せ、すっかり夜に覆われた荒川を渡る。