リキュール。
海外旅行から帰ってきた母のお土産だ。
牛乳と併せて飲むと美味しいらしい。
ココナッツミルクの風味でいて、とろんとした心地になるのだそう。
最近はそういったアルコールを選ぶことはなくなったから、
いい機会だと思った。
かつては、カルアミルクもよく飲んだ。
岡村靖幸の同名のヒット曲も聴いて、そこはかとなく香る甘味が感傷を誘った。
のめり込んだ。夢中だ。酒の全てがここにある、と威勢よく思い込んだ。
しかし、ある真夜中にひとり台所で、ステンレスの味気なさと一緒に瓶をあけたとき、
銀色の冷たい感じが相当堪えて、とろんとしてからすぐに冷めた。
カルアミルクやカクテルをよく飲んでいたころは、
「甘い飲み物なのに気軽に酔える!やったー!」と嬉しくなっていたから、
仮にそれが小学生身分だったなら、夏の日記帳に嬉々として書いていたろうな。
夏の日記帳のハイライトは、当時新型の山手線に初めて乗った感想を
「まるでホテルのゆりかごだ!」と鮮やかに描写したことだ。
ホテルのゆりかごは、今年か来年かには引退するそうだ。
脱線。
「甘い飲み物なのに気軽に酔える」ことが嬉しかった私は、
あの日、真夜中に飲んだ台所のカルアミルクから、ぱたんと魅力が薄まったのだ。
ひとりの飲みに感じる、得体の知れない「惨めさ」は感じたことがあるだろうか。
ひとりで黙りこくるようなときに、
誰もいない、何の嬉しい出来事もない、
それなのに喜んで微笑んで上気している自分を、
よく俯瞰で見ることがある。
で、あの日、思ったのだ。
そんなことやって、何が楽しいのかね。
ひとり、ジュース感覚で気軽に酔えるって、
いいとこどりに見えつつどっちつかずなんじゃない?
それから私は、新たなパンドラの箱を開くことに。
そう、泣く子も黙る日本酒と焼酎だ。
ひとりで飲む熱燗、ひとりで飲むロック、
添えられた焼き鳥。皮とレバーはマストで。
まずはおちょこを一気。
うまい。
続いて、おちょこに注ぎしばらくちびちび。
ああ、うまい。
2合目突入した一口目、ふたたび一気。
……………………。
…………うめえなあ。
ひとり飲みをしています感。
ひとりでちびちびやってます感。
もう、これでいい。
がっつり飲んで、がっつり酔う。
今、ひとり飲みがアツい。
岩手の日本酒をもっと知りたい。
神社の参拝でひとくち飲んで、顔が「クーッ」としてしまったが、
もう、誰も私を止めてくれるな。
(……何の話をしたいんだっけ……?)
ちなみに、母は下戸なので、
リキュールの情報はインターネットが全てだ。
でも、せっかく頂いたお土産、
久しぶりに、飲んでみよう。
スタートから締まりまで悪いですね。
岩手の日本酒は、赤武がおすすめです。
さらば!