口から出る言葉に、プラスの意味をもつ言葉は少ない。
おそらく最も多く口にするのは、「駄目だ」という言葉だろう。
根拠のあるかないかに関わらず、
また現にそうであるか否かにもひっかからず、
まず口にポッと出してしまう。
「駄目だ」とまずは言ってみる。
この言葉は、口癖なのだ。
荒れた天候で幕を開け、ひどい荒天で暮れる日曜日だ。
ひょっとして、数十年後の日本史の授業では、
喋りが上手な先生が、
「21世紀の分かれ道であったこの日に、
なんと運が悪いことか、台風が邪魔をしてしまったんだ」
「運命が決まる瞬間は、すでに決められていたのかなあ、
と、思いたくなるほどに、運が悪いんだねえ」
と流暢に語りながら、粉だらけの手で黄色のチョークを取り、
黒板に打ち付けるようにカタカタと、
『平成末期台風選挙』
と書いていたりして。黄文字はテストに出るぞと。
憂鬱だ。そら風邪もひく。
もう「駄目だ」とは言わない。
との気持ちで、なるべく減らしていきたい。
もうすでに「駄目」かもしれないし、
これ以上に「駄目」が待っているかもしれない。
いやそんな意地悪な言い方ではなくて、
ひょっとすると、
コインの裏の模様を、
服がリバーシブルであったことを、
知らないままこれまで生きてきたのかもしれないだろう。
一人称を書くことに嫌気がさす。
一人称によって、文章は損をしてきたことだってあるはずだ。
そんなつもりもないものが、
超個人的な主張を声高に叫ばせるだけのものに変わっていたかもしれない。
だからこの記事は一切書かずに進めてみた。
そして、不発に終わるのだった。