もし私の記憶がリセットされた状態で、
4人の成人が横並びで目の前に立ち、
「誰が貴方の両親でしょうか」
などと選ばされたとしたら。
私は、嗅覚のみで、ちゃんと正しく選べるだろうか。
という、寝惚けたことを考えながら目覚めた。
人間関係で、
のちにハッと気付くとき、
いつも夕景が浮かぶ。
燃えるような茜色の空が脳裏に浮かび、
広大な焼けた空を眼前に、
「ああ、そうだったのか……」
と、途方にくれるイメージが挿入される。
たとえば、好意に思ってくれていると認識していた人が、
実は正反対でした、なんてことや、その逆も然り。
不発だとしょげていた人が、実は……のパターン。
数年前に年長者から言われたひとことが、
今になって理解できたことも。
そのすべてに、鮮やかな夕景が浮かんで、
真ん中に立って途方にくれている。
もう何年もこの経験があるのだが、
いや綺麗な景色なんだけれど、
なぜこの景色なのかはさっぱり。