旅2日目:青森

 尻切れトンボになっていた旅行記を、7か月越しに繋げます。
 旅の記録なので、楽しい気分で書いていきます。どうぞよしなに。

 

sunnyweekend.hatenablog.com

 

 旅1日目の記事は、まさに旅先のホテルの一室で書きあげたものでした。なんだかやけに高揚しているし、あとなんだか妙に感傷的にもなっているし、さらには今後の旅行、あんま楽しめないだろうな、なんて思っていそうな佇まいさえ感じられます。さらに、2017年9月当時の私の状況を振り返ると、大学卒業以後、この月まで鬱々とした生活を続けていた、というのを含めた上でも、なんといろんな感情がごっちゃになった記事なのでしょう。感慨深いです。当時の私はそれなりに頑張った。かもしれない。
 さて。
 盛岡の夜を越して、朝の盛岡駅西口に降り立ちました。西側は中心地のはずれであるため、また風情が異なっています。さらには東北であるために、ひとあし早めの秋の涼しさも感じられて、ぼーっとひなたぼっこでもできるような朝でした。

 

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 そこで私は、青森へ向かいます。
 青森までは、はじめJRで行くぞと意気込んでいました。たしか、大舘まで出て、そこからなんとなく道なりに……(省略)……って感じで青森に着くはず。ただ、しかし、着いた頃には夜に近くなっていて、あとはホテルに入ってバタンキュー、かな、と思うと、少し寂しい気にもなります。なにせ、青森で夜を越した翌朝には、仙台行きの高速バスに乗るのですから、青森観光もあったもんじゃないのです。
 なので、高速バスに乗ることにしました。
 この旅は、高速バスを多投させます。合計で、4回乗ったかな?青春18きっぷをもっていながら。ああもったいない、と思いながら、それも妙だね!と乱暴に納得させました。このあと、深夜高速バスも乗っていくのですが、深夜どころか、昼間でさえ、高速バスに乗ったことがありません。怖い怖い。高速バス界のルールでもあるのでしょうか。それ以上に、北国特有のローカルルール(2時間おきに岩手山か白神方面を拝み倒すとか)でもあるのに知らなかったらどうしよう、と意味もなく岩手県北バスのホームページを開いて見てみたりしていました。

 なんの問題もなく快適だったので、割愛します。
 ただ、とても印象的だったことがひとつありました。盛岡から東北自動車道に入り、少し霧のかかった高速を速いとも遅いともいえないいい速度で駆けているころ、風景が徐々に色づいていくのです。緑ではない色が、木々に添えられていくのを見るのは、残暑といえども、酷暑の続く東京を過ごしていた私にとっては新鮮で、その季節の変わりように、感動していました。
 そのうち、ほんのすこしだけ秋田県に入り、碇ヶ関バス停で一旦停止。霧のよくかかる、森の中でした。そこから先は、ついに青森です。
 いちばんに青森を感じたのは、そう、りんごの木。山の斜面にはりんごがたくさんに栽培されていました。それも、無数に。青と黄や赤みがかった、ささやかな風景画に、鮮烈な真赤の点描が、てんてん、と施されたような印象の強さがありました。そうか、私は、今、本州最北の地、青森にいるんだ。

 

 青森駅に着き、かなり驚きました。
 街が開放的!なんて開けた雰囲気なんだ!
 さっきまで滞在した盛岡とは、同じ北東北といっても、風味は大きく異なりました。なんというんでしょうか、海が目の前に迫っている、それだけで、または四方を山々が囲いこむ、それだけのことで、これほどに気風といいますか、街に吹く風の通りかたの種類が変わるのですね。完全な初心者の印象ですが、青森はおおらかさ、盛岡は文化系の匂いがしました。

 

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 チェックインの時間まで相当あります。なにしろ18きっぷを捨てて高速で来たので。そのくせなにも決めていないので、その場で考え、検索して、そこに行く、という形をとりました。要は行き当たりばったりってことです。そういえば市場ってあるんだっけね、と歩いていたところ、のっけ丼、という場所を見つけ、すすす、と入っていきました。
 のっけ丼。それは金額に応じて半券を貰い、お店で売られている魚1つにつき1枚(トロや人気の食材は2、3枚になることも)半券を渡して、どんぶりのうえに載せてもらう、という形式の市場?でした。仕組みがわからず、ただでさえアワアワしがちな私が、いたく挙動不審になりながら5枚分ほどのお金を払い、3往復くらい店を巡って、結局ベタなものだけ乗っけてもらう結果になりました。

 

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 すごい、すんごい少ない!
 空白がよくみえる!ザ・初心者、って感じののっけ丼完成。
 美味しかったので満足です。でも10枚とか買えばよかったなあ、ケチらないで。次に青森行くときには、15枚くらい課金しようと思います。

 

 で、その後は散策。
 青森の八甲田丸を見に行きました。なんとのどかな時間。
 途中、ごつい一眼レフのカメラを持ったヤンキー風ファミリーに写真撮影を頼まれまして、プレッシャー(=メンタル)が唯一の弱点である私が上手に撮れるはずもなく、皆さん目いっぱいの愛想笑いを私にくれました。ありがとう。ようやくこのことを記事に書けました。

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 海が美しい。青森の海はブルーに満ちていました。心なしか、色も濃く思えて、ああ、いいなあいい街だなあ、と、海風に吹かれカモメの鳴く声をBGMにして、徐々に青森が好きになっていく私がいました。
 それでも時間は余りました。
 どうしよっかな、と検索しまくっていたところ、三内丸山遺跡のとなりに現代的な美術館があるという情報を知ることになりました。
 青森県立美術館
 外観を見たら、あれ、なんか、建ったときに話題になったような気がする。テレビで見たような気がする!
 旅行中特有のハイパー躁状態の好奇心が喜びはじめました。チェックインまで2時間半あるから(意外になかった)、行ける行ける!……と、三内丸山遺跡に向かうバスに意気揚々と乗り込みます。

 

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 後払いのバスは経験が乏しいので、手汗をかきながらしわしわの整理券を握りしめます。何度も整理券番号を確認し、チャリンチャリンと小銭もあるか何度も見て、降りるときには相応の額を支払……おうとして、両替システムに手間取り、私の降車のために1時間のような20秒が過ぎていきました。オレンジの光に晒された小銭なんて10円か100円かなんてわかりゃしないよ!冷や汗かいた。
 で、美術館に到着です。公園の中に白い角ばった建物がちこんとある、そんな印象。長い記事でごめんね。

 

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 とにかくモダンです。森のデザインがかわいい。
 まず入館して、そう、入館したての私が、まっさきに心を射止められてしまったものがありました。それは、天に届かんばかりの大きな広間の四方に、めいっぱいにかかるシャガールの絵!演劇での作品依頼に応えた4枚の作品。1枚目と2枚目が好きです、としかいえないのが残念ですが、とにかくこれだけで、青森県立美術館に行く価値があります。私に続いてこの絵画に恋をしてください。
 ということで、あまりにこの4枚に時間をとられてしまい、チェックインの時間ギリギリとなってしまったので、それ以外の展示は駆け足でまわりました。ほとんど憶えていないのが残念です。

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 あおもり犬にも会ってきました。うつろな表情にも精悍な心の内が見えたような気がして、またゆっくりお会いしたいです。
 ホテルは、また素晴らしいおもてなし。お心遣い、ありがとうございます。本当によかった。本当によかったので、次青森に行くときは、必ずこのホテルにしようと思います。宣伝するのは気が引けるので、直接私に尋ねてください。3日目の話にまたいでしまいますが、朝食バイキングが、最高でした。地の物をつかった身体にやさしい、また美味しく馴染んでいくお料理で、これから遥かな躁状態旅行を続ける私を、颯爽と送り出してくれるような気がして、泣ける気になりましたよ。3,000円台で泊まれるなんて信じられない!

 

 躁状態なので、
 風呂はシャワーじゃいやだ!と私は私に駄々をこねはじめました。
 ちょうど部屋に入って、ちょっと落ち着いたところで落ち込みがはじまりそうだったこともあり、なにかないかなあ、とまたも検索に検索を重ねたところ、見つけました。公衆温泉!
 生まれてはじめての高速バスに、生まれてはじめての公衆温泉です。市が運営している温泉で、かなり盛況、とのこと。夜に入ってから、近場にあるというその温泉に行ってきました。
 市の中心部にあるということで、ビル一棟ごと温泉施設というもので、スパみたいな雰囲気がありました。またも不慣れさにアワアワしながらも、タオルやらなんやら貰って、入浴しました。
 ああ、気持ちいい~~~。
 ふつう、ビジネスホテルでの旅となると、シャワー浴びておしまい、ということが多いでしょうが、こうして湯船(しかも温泉!)に浸かれるなんて、夢のようです。市民の方が大勢いて、活気があるのもいい心地にさせます。それでいて、湯からあがった目と鼻の先に、先ほどまでお世話になった岩手の小岩井農場が出している、コーヒー牛乳が!飛びつくように買いました。雰囲気すごい。温泉だったり銭湯だったり。しかも瓶だし。すごいすごい。眠れそうにない!
 意気揚々とほかほかした身体になって、たらたらとホテルへ帰りました。

 これが2日目です。
 3日目以降も、旅は続きます。東京へ帰るのはまだまだ先です。
 気が向いたときにまた繋げますね。
 読んでくれてありがとう!