2018/04/21

夜にさしかかり、ひっそりと苛立ってしまいました。
苛立ちの原因はなにか、


それは、

3枚じゃ暑くて2枚じゃ寒い掛け布団のいじらしさ、
目が覚めて起きあがる労力に、
身支度全般の労力もそう、
文庫本を家に忘れてきたことも、
夏がはじまる気配が、ざん、と街じゅうに積もっていることから、
日中の暑さだったり、
それにひきかえ電車の冷房の強さに、
たった1駅のくせに山手線に抜かれる埼京線ののろさに、
着いた新宿の情報量の多さと、
窓ガラスに映った自分の容姿に思うこと、
人間との会話に負担を感じる自分に、
日に日に冷める会話への熱量、
沈黙の時間を迎えるたびに人生の残り時間を考える自分のこと、
言おうと思ったことの1%も告げられなかったことに、
1%を告げるために重ねた99%の与太話、
そこから展開される大反省会、
のわりに一向に上昇しない会話への熱、
かといって独りになりきれない脆さ、
内実、活字を受け付けない心の構造、
さらには音楽も受け付けない心の構造、
浮かぶひとの面影を振り払うこと、
のくせ何枚も10円玉でスクラッチさせる面影に、
始発にも座れない東京の人口の多さから、
解放されたはずの自宅の空白した時間、
空白の中心地に立ち尽くす私に、
ひとりだ、と感じること、
空白のひとりでいることに試練があること自体、
夜、
タイピングが下手になったこと、
脳の性能が低下したこと、
目薬の命中精度の悪さ、
寝ようか、なんて思えない気分と、
空白がかさんでかさんで堆積したら、
と負の皮算用に耽っていたこと、

それらのなかの、すべてでしょう。おそらく。
暴れた苛つきを振りほどくために家を飛び出しました。
二度と帰らぬ気で終電までには帰るのが常で、
岡山あたりまで行ってやる気で中野あたりが関の山で、
散在しようにもコンビニの無印良品ブースを漁る程度、
ついでに酒でも……と手を出しかけて結局隣の天然水ペットボトルで、
歩いて帰る道、
当然、桜並木に新緑は茂り、
時折湿った風が吹いてきて、
春が終わってしまう、
春が去るなんて非情だと感傷に浸りかけたところで、
クラクション、
私の関係のない荒いドライバー同士の駆け引きクラクション、
そんな走り屋も道路工事の片側通行に阻まれ、
オレンジに明滅するパイロン、
そよ風、
春がさっと首筋を撫でる、


結局、静かな顔をして、帰りました。
自分に苛立って、何もなく静かに戻った、
そんな感覚は何度も何度も経験しているものの、
まったく初めての経験のような振り回され方をしています。
心に手綱をかけ、操縦することは、
思いの外難しいですね。